カタツムリ丼

学生時代、普段行き慣れているごはん屋さんではなくて、別のご飯屋さんに行ってみようと友人と出かけた。家から僅かな距離の、住宅街のこじんまりとした個人の定食屋さんである。

「大地が美味しい」みたいな店名だったと思う。その名の通り、有機栽培の食品を出すのが売りだった。

常連客がカウンターに一人座り、店主と話していた。

私は友人とテーブルに着き定食を頼み、運ばれてきた。

サラダを一口二口食べると、サラダの中からカタツムリを発見(ナメクジだったかもししれない)。

すぐさま店主にカタツムリがいることを伝えた。店主はサラダボウルを回収し、カタツムリのみ取り除いてそのまま返してきよった!カタツムリが這いずり回ったあとのサラダを、である。

もちろん私は気持ちが悪くてサラダに手を付けなかった。

常連客がこちらを向いて「そんなん気にせんでも食べられる(笑)」と言ってきた。有機栽培の店だからそんなことに寛容なやつが常連になっているのか。頭がおかしいやつだと思った。

私一人だけならそれ以上食べずに、店を出たかもしれないが、友人もいたのでサラダ以外のものは食べた。

そしてお勘定。

きっちり定食代を請求された。

青臭いセイガクだった私。納得いかないながらも請求されたものを支払わないという選択肢もなく定食代をきっかり払って店を出た。

友人からは最悪な店だ、とか、大変な目にあったな、とかいう言葉をかけてもらったような気がする。

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最悪の体験だった。カタツムリやナメクジには寄生虫がいるというのも知っているし。

業務用の食材を調理する際に、どれほどの確率でそのような異物混入、生物混入が起きてしまうのかわからない。一定数、そのようなことが起こってしまうのは仕方がないことなのかもしれない。

しかしね、やはり気持ちが悪い。髪の毛が入っていたとか、そういう問題ではないのである。あの、ヌメヌメとしたもの、そのものが気持ち悪い。それが食品に入っていたということは耐えられない。

まずしっかりと謝罪をしてほしかった。そして、サラダを完全に作り替えてほしかった(とはいえカタツムリが作り替えたサラダを這いずり回ったかどうかの保証は全くないが)。

せめてお代は結構です、の精神が必要であろう。