ここにコップ1杯の水があるとしよう。近くの海にそれを流してみよう。
1年後、地球の裏側の海でコップ1杯の水をすくおう。
するとそのコップの中の水分子のうち1000個程度は1年前に流した水の分子だということだ。
最近読んだ、あるサイエンスライターを著者とする本に書いてあった。どんなシミュレーションなんだろう。ほんまかいな。
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コップ1杯の水には200mlの水が含まれる。200gの水と言ってもよいだろう。水分子の分子量は18だから200/18molの水と言い換えられる。この水には200/18*アボガドロ定数=6.6*10^24個の分子が含まれるわけだ。そのうちの1000個か。。
仮定として水分子1000個分がクラスター状に海洋中を漂うと考えればこのクラスターは6.6*10^22個できるわけだ。
水分子1000個のクラスターの体積など日常的な感覚とすればほぼないに等しいので、地球の裏側のA点と、そのA点から1m離れたB点ですくう水分子1000個のクラスターは絶対に一致しないはず。
「近くの海にそれを流してみよう。
1年後、地球の裏側の海でコップ1杯の水をすくおう。」
との仮想実験において近くの海、を日本のどこかの海と考えてみよう。地球の裏側ってのはあくまで比喩表現のひとつなはず。地球の裏側は比喩としてはブラジルらしいので、この実験における地球の裏側の海ってのはブラジルに面する海のどこで水をすくっても同じ結果が得られるはず。
google mapで適当に計測してみるとブラジルの海岸線は6000km=6*10^6mほどありそうだ。1m間隔で6*10^6人が同時に水をコップ1杯すくうとそれぞれのコップには1000個の1年前の水分子が入るはず。6*10^6*1000<<<<6.6*10^22…。だめだ、全然反証できない。
もっと突っ込んで、もっと簡単に話を考えてみる。
「近くの海にそれを流してみよう。
1年後、地球上のどこの海でコップ1杯の水をすくおうとも、そのコップには1年前の水分子が1000個以上含まれる。」
これに対する反証を考えよう。こまかな海洋の流れは知らないが、地球の裏側で1000個含まれるなら1年前に流した海と近いところではもっと多くの水分子が含まれているはずだから。
世界の海岸線はどれくらいあるのか。
を参照するとブラジルの海岸線を2000kmと見積もったことがだいぶ間違いであるような気もする..
今調べると世界の海岸線は356000km=3.5*10^8mかぁ。この思考実験でも苦しいな。計算と思考がガバガバすぎるのか。
もっともっと簡潔に考えてみる。200mlのコップの水、ではなくて100mlの水として考えてみる。1cm×10cm×10cmの容器で流した水を1年後に世界の海岸線のどこかで同じ容器ですくってみたときに何ml、1年前の水がすくえるか、という問いに変えてみる。つまり、垂直方向の水の拡散は全く考えない。水は356000km=約4*10^10cmの海岸線のどこかに均一に拡散して到達するというガバガバで考える。
いや、これでもアボガドロ定数の10^23が効きすぎていてだめだな。
海岸線に均一に分散すると考えなければどうだ。つまり水分子は海岸線にも到達するが海岸線から離れた場所に等しく分散して到達する、と考えてみたら?例によって垂直方向の水分子の広がりは無視する。そちらのほうが自然だし。
世界の海洋面積は360000000km^2だそうだから約4.0*10^18cm^2だ。
と考えると10^5か10^6個のオーダーでの水分子は入っていてもおかしくなさそうに思える。
実際には垂直方向への広がりを考えるべきなので、現実的にはもう少し数は少なくなるだろう。
きっとサイエンスライターもこの程度の計算で1000個と出したんじゃないかな。
アボガドロ数って偉大ですね。こう考えればあながち1000個ってのも現実的な数字なのかな。
しかし、やはり信じられない。
海洋の流れや実際には動植物に取り込まれる可能性だってあるし、水分子が海に流れてそのまま液体として海にとどまる可能性も100%というわけではない(蒸発して雲となったりするものもあるだろうしね)。垂直方向の水の流れも無視できないし。
いやー計算の根拠を教えてほしいもんですねぇ。
本日のBMI 21.9